台湾の日本産食品輸入停止について

By 20:53

台湾の食べ物を日本で扱う企業として、無視できないニュースがありました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150514-00000076-san-cn福島の原発事故を受け、15日から一切の日本産の食品の輸入を停止することを台湾当局が決定しました。

震災後、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の5県からの食品の輸入を禁止していましたが、産地偽装などのスキャンダルが引き金となり、今回の全面輸入停止という事態となってしまいました。
産地偽装は、輸入会社の独自の判断によって行なわれたと聞き、生産者の方々のやるせない気持ちを考えると胸が裂かれる思いです

台湾では、昨年9月、廃油などを使った違法ラードが販売が発覚するという事件が大々的に報道されました。以来、食品品質への関心・懸念が高まっています。私たちのブランドも含め、外食産業・乳製品産業には疑惑の目が向けられ、原材料の品質管理を怠っていた企業は、軒並み大打撃を受けたようです。サニーヒルズは、使っている原材料の出自を明確にし、品質管理を厳密に行うということを創業当時から方針としていることをご存知のお客さまも多く、大きな損害を受けることは避けられました。

品質管理がきっちりとされた材料はそうでないものに比べてやはり割高です。しかも食べ物の場合、品質管理はしっかりしてなくても味は同じぐらい良いという材料もたくさんあります。いつもであれば関心を寄せられないような細部と思われる方も多いかもしれませんが、しかし、こういう事件があったとき、消費者の信頼を一瞬にして失ってしまい、長期間にわたってビジネスに影響を及ぼされてしまう。そんなことを痛感させられる出来事でした。

今回のこの台湾側の措置は波及的に韓国や中国にも広がっていくのではないかと思われます。
日本で生産者が誠心誠意、自分の出来る最上の手間暇をかけて作った商品も、消費者の手元に届くまでの間で目の届かないところで不正があった場合、すべての努力が霧消してしまいます。
もともと、安かれ悪かれの商品には、ちゃんとした品質の商品はどう逆立ちしても価格面で勝負することはできません。日本では、高品質な商品を評価する環境が少しずつ整ってきているように感じますが、海外へ輸出したさい、その精神を共に輸出することが難しいように感じます。

輸入全面停止に関しても、以前から台湾当局は輸入時の産地証明と放射線検査証明を義務付けていました。このような措置によって価格競争力を失ってしまい、結果産地偽装に走ってしまったということのようなのですが、国からの援助などがあれば・・・輸出入に関しても生産者と志を同じくする業者がいてくれたなら・・・・ちゃんとしたブランドや商品のコミュニケーションをする機会が与えられていればこのような事態になってなかったのでは、と考えると残念でなりません。

ご来店くださるお客さま方を見ていると、台湾と日本はとても良い関係を結んでいるように日頃から感じております。両国に関わる仕事をしている立場の者として、清廉であること、最後まで、細部まで妥協をしないで済むような会社の経営をしていくことにより、両国の関係をまた良好にしていく動きの一端をになうことが出来ればと思います。

追記(2015/5/15
関係者の方々の最後までの努力によって、今日の期日を目前に、完全停止という措置ではなく日本国内で入手可能な産地証明書を提出すれば問題ないという規制に軽減され、最悪の状況は回避できました。
とはいえ、検査のための日数や放射線検査の費用など、日本の生産者にかかる負担、商品品質維持の困難さは残ります。一刻も早く日本産製品全般の安全性を国家レベルで確保・証明し、二国間の交流・消費者の信頼の回復を実現できることを望みます。